ウエストホームズ談話室
WEJ484(2月)号を拝受しました。 - 疲労脳
2018/03/23 (Fri) 13:34:00
第236回関西支部例会配布号を拝受しました。また新しい年と共にWEJ第44巻の歩みが始まっています。1月号は発行日は1月1日付で年賀切手は貼ってありました。同人団体の温かみを感じ、すがすがしく新年を迎えました。今号は2号目ですが、私の印象に残った記事は次のとおりです。
★新年度関西支部会員証(原田氏)
会員西岡さんデザインの会員証が発行されたとの記事ですが、印刷が不鮮明なのが残念です。同封されていた本物を見るとなかなか凝ったデザインです。
★『図書』に柳広司氏の「ヒーローの研究」掲載(中島氏)
柳氏はJSHC会員を上回るシャーロキアンとお見受けします。いわゆるホームズ学の中で最も美しい謎と答えとして、ドロシー・セイヤーズのワトソンの名前を「ジェイムズ」といった件を挙げておられますが、「ため息が出るほど美しい回答だ」との賞賛は全く同感です。
★村上春樹氏がチャンドラー7作を翻訳(東海氏)
ノーベル文学賞の候補とも目された村上春樹氏が、レイモンド・チャンドラーのハードボイルド7作を翻訳されたとの事。流石に超大物作家はなさることがズバ抜けていますね。
★What is the "Worldism"?(太田氏)
全く今までになかった形式の(かつ内容も)投稿論文です。「研究の自由」「表現の自由」は本格的な学問にもホームズ学にも根本的なルールです。この投稿形式も斬新ですが、内容もなかなかなものですね。
よく分からない英国でのブランデー - 西大久保
2018/03/26 (Mon) 16:10:50
ブランデーは高級酒で、王侯貴族に限らず上流の人々の風習として、ディナー終了後、席を食堂からロビーに移して、ブランデーと葉巻の接待を受け歓談するものでした。ところがホームズの事件簿には気付け薬の使用例ばかりで、ゆったりと美酒をたのしんだりするシーンはありません。そこで―
①これはホームズやコナン=ドイルが貧乏でこのような生活をしたことがなかったのか、美酒をたしなんだことがなかったのか、
②アルコール濃度から言えば英国はほぼ同じ78プルーフの酒であるウィスキーがあり、十分に気付け薬として効果がありそうなのですが、何故国産で価格も手ごろなウィスキーを使っていないのか、何かコナン=ドイルに偏見でもあったのだろうか―
との疑問をかねてから持っています。福島さん紹介の『ブランデーの歴史』には以上の点の解答がえられますか?
村上春樹氏訳のチャンドラーに注目 - 期待民
2018/04/03 (Tue) 14:25:38
“あの”村上春樹氏が“あの”レイモンド・チャンドラーを翻訳されたとは、大事件と言って誰も異論はないだろう。翻訳はどんな本にせよ、それこそゴマンとあるにちがいないが、チャンドラーのハードボイルドミステリーは単なる探偵小説に留まらず、もはや文学の域に迫っていると評価している。最初に探偵小説の一冊のつもりで「長いお別れ」を読んだ時の強い印象は今でも忘れない。
私が読んだ訳はどちらかと言えば通俗的な翻訳者のものであったが、それでも字間、行間から原作から伝わってくるものがあった。
平賀論文に虚を突かれた思い - 森の住人
2018/04/06 (Fri) 20:17:34
平賀著《青い紅玉》再考は本号で最終回を迎えたが、この論文にすっかり虚を突かれた思いである。
小林司・日暮雅通氏らが個人訳で《青い紅玉》原題は《青いカーバンクル》の(Carbauncle)の訳語も紅玉の訳語も気に入らなかったと見え「ガーネット」に改めた。
そしてカーバンクルをガーネットに改訳して新味を出そうとしておられる。一般読者としてはこの区別もそれほど重要な事とは思わず、それで通用していた。鉱物学の知識や英単語の意味も大切にしたのであろう。
しかし、文中に出て来る情景描写やホームズの言葉にはカーバンクル(柘榴石)を示す表現や形容はほとんどないのである。
訳語を選ぶ時も、訳者は事件簿中の他の表現や情景を無視してはならず、これらに裏付けられていなければならない。小林氏も日暮氏もホームズの言葉を全く無視して訳語を選んだ。これを指摘した平賀論文に改めて虚を突かれた心境である。