ウエストホームズ談話室

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ホームズファンのための談話室です。どうぞおくつろぎください。  

カズオ・イシグロさんがナイトに - 湖南同居

2019/02/09 (Sat) 16:11:37

カズオ・イシグロさんは、2月7日にチャールズ皇太子から文学界への貢献が認められ、ナイトの爵位を授与された。すでに世界的にはノーベル賞を受賞し日本では叙勲で旭日重光章を受章し、長崎県の名誉県民、長崎市の名誉市民の称号を贈られている。今後はコナン=ドイル同様にサーの称号が使用される。ただコナン=ドイルはホームズや英国の歴史小説の作家としての授与ではなく、英国によるアフリカでの侵略戦争を美化、擁護する文筆活動に対して与えられたモノ。

コナン=ドイルは大衆小説作家で十分 - 雨が先

2019/02/17 (Sun) 02:37:14

カズオ・イシグロ様は間違いなく文学者です。しかし残念ながらコナン=ドイル様は、文学者になりたくて大当たりした探偵小説作家から逃げ出したのですが、ご本人が目在した歴史小説は結局文学者からは認められず、文学者になりそこなったのです。しかし、要はホームズが面白く一世紀以上後でも読まれているだけで良いのではないでしょうか。

コナン・ドイルの歴史小説について - みっちょん

2019/02/17 (Sun) 10:22:15

「雨が先」さんのレスに
「ご本人が目在した歴史小説は結局文学者からは認められず、文学者になりそこなったのです。」
と書かれていたのには驚いてしまいました。
当時の文学者の代表ともいえるメレディス、オスカー・ワイルドからも絶賛されている作品もあるんですけどね。

調べが不十分なので見落としがあるかも知れませんが、アマゾンで検索するとコナン・ドイルの歴史小説でハードカバー(とパーバーバック版、電子ブック版)で発売中なのが
The White Company(Classic Reprint)
The Adventures of Gerard
The Exploits of Brigadier Gerard
The Great Shadow
Rodney Stone
Sir Nigel

主な歴史小説は英語圏の人たちに今でも読まれていることが判ります。
ただ、私が好きな歴史小説のMicha Clarkeには英語版はなく数種類の版でドイツ語版がありました。

歴史小説ではないですが、
The Captain of the Pole-Star
Round The Red Lamp
という短編集も

ドイル自身が未熟だとして全集に収録しなかった
長篇として最初に執筆した
The Firm of Girdlestone
も単行本とペーパーバックでありましたが、驚いたことに、2019年2月11日発行の版もありました。

このように21世紀になっても読まれている歴史小説が認められていなかった、と書かれている「雨が先」さんは歴史小説をお読みになられたのでしょうか。
自分の目で読んで判断されることをお薦めします。
私はすべて邦訳ですが読んでいます。好みが別れるでしょうが面白いですよ〜♪

追記です - みっちょん

2019/02/17 (Sun) 13:18:38

ヘスキス・ピアソンは伝記のなかでドイルの歴史小説の描写を取り上げて貶していますが、何を物語の中で語りたかったのかについては気がつかなかったようです。
詳しくは
《白衣隊(白衣の騎士団)》の「内容及び史実」についての解説と感想
http://shworld.fan.coocan.jp/06_doyle/story3/42_%20White_Company_b.html
に記してあります。

また、ピアソンはドイルが尊敬していたジョージ・メレディスについて
「今となってはなぜかが分かりにくいのだが、メレディスは晩年の二十年間に文壇で偶像視されていた。理由は二つあった。第一に、メレディスの文章は難解で、意味が分からないことが多かった。したがって、ふつうの読者はメレディスなど読まなかったから、同時代の作家は競争相手になる恐れのない彼を安心して祭り上げることができた。」
(『コナン・ドイル』ヘスキス・ピアソン著より 植村昌夫訳)
と、メレディスを貶すことによって、メレディスを尊敬しているドイルを貶そうとする二段論法を使っています。

はたして、そうでしょうか。夏目漱石による「メレディス論」などを参考にして記した
「ペトラルカとボスコム谷そして尊敬する作家ジョージ・メレディス」

http://shworld.fan.coocan.jp/06_doyle/story4/50/50b_bosc.html

にアップしています。

ジョージ・メレディスの作品で訳されているのは『リチャード・フィーバレルの試練』(1859年)、『エゴイスト』(1879年)の長篇2作と、ファンタジーな内容の『シャグパットの毛剃』(1856年)だけですが、実際に読んだ感想も書いてあります。
これらの作品の中には実際にホームズ物語に使われているエピソードもあり、シャーロッキアンにとっても重要な作家の一人かと思います。

こちらの掲示板では「コナン=ドイルはワトスンの代理人」としてホームズ物語以外は話題にならないことが多かったですが、時代が変わったようで嬉しい限りです。


英国の文学全集に入らないコナン=ドイル - 面会謝絶

2019/02/26 (Tue) 14:50:38

SH紀要に発表された太田隆さんの『聖典とは何か』に次の記述があります。シャーロック・ホームズが世界的に有名になっているとの記述に続いて「それほどよく知られ、愛された人物を生みだした作家なのだから、コナン・ドイルは英文学の偉大な伝統を受け継ぐ作家として尊敬され、その作品は重要な文学作品として認められてきたかというと、そうではなかった」短文の引用では太田さんの意は十分に汲めませんから、ぜひ紀要の論文の全文を読んで論じましょう。

Re: 英国の文学全集に入らないコナン=ドイル - 木下信一

2019/02/26 (Tue) 18:22:20

ショーペンハウアーでしたか、読書とは他人の頭で考えて自分の頭で考える習慣を奪う有害な行為だと言ったのは。
この掲示板でよくJSHCへの批判に出るのが「〇〇はこう言っていた」という、他人の説は憶えるけれども、自分で考えたり批判的に研究したりしないということでした。
ここに、まさにその実例を見出すことができます。
ドイルが「高尚な」文学をものそうとして失敗し、結局ホームズものが売れてしまう、というのは、言ってしまえば昔の誰かが唱えた「定説」に過ぎないわけです。ドイル自身がホームズを継子扱いしていたのは、そして本人がより高尚な文学へと進もうとした、しかし売れるのはホームズばかり、というのも、ある意味では正しい。そこから「文学者として名声が得られなかった」としたいのも、解らなくはない。でも、これはホームズが爆発的に売れたから、他の作品が相対的に売れなかったともいえる。
先に上がった「〇〇はこう言っていた」が、何の批判もなく、自分で吟味することもなく繰り返されているだけ。

さて、今回の事例をみてみましょう。
みっちょんさんは、いろんな論拠をもって、この「神話」が正しいのかを検討しています。まさに、これこそホームズ研究の手法でしょう。

一方、面会謝絶さんです。
>SH紀要に発表された太田隆さんの『聖典とは何か』に次の記述があります
>短文の引用では太田さんの意は十分に汲めませんから、ぜひ紀要の論文の全文を読んで論じましょう。

まさに「太田さんがこう言っているから」です。お勉強としては満点かもしれませんが、これは実像を探る研究からは程遠く、しかも実証的に根拠を挙げている人への反論としてはお粗末というしかない。

学問というのは進歩するものです。昨日まで通説とされていたことが、今日は間違いになることもある。先人の業績は頭に入れるとして、それを鵜呑みにするのは「お勉強」であって、、全く思考をしていない。まして、その通説に事実をもって批判している人に「これは〇〇さんが言ったことだ」といっても、馬鹿にされるだけです。

私自身の専門の話になりますが、前世紀にはルイス・キャロルは少女を愛し、大人には興味がないとされていました。しかし、1990年代の終わりから「どうもそうではないようだ」と、さまざまな事実をもとに検証するようになった。現在、キャロルが少女にしか興味がないという意見は、数ある説の一つにまで後退しています。
もし、ここで見た「反論」のように「〇〇はこう言っていた」で済ませていたら、今に至る研究の進歩はなかったでしょう。

「〇〇にはこう書いてある」だけで思考停止するのは、おしまいにしませんか?
ドイルが文学的に評価を受けていたかどうかは、多くの人が議論するに足るテーマです。それを、何十年か前に「定説」のようになったものにしがみついて先に進まないのは、もったいないと思います。

ちなみに……
ドイルの作品はイギリスの古典文学叢書(日本で言えば岩波文庫)のPenguin Classicsからも出ています。

太田論文からさらに議論しましょう。 - 面会謝絶

2019/03/08 (Fri) 20:33:51

木下様のご批判をありがたく拝読しています。批判のない所に進歩はありません。
ところで、小生が太田論文を紹介したのは、「誰それがこう言っている」との単なるデーターの提供ではありません。論理的に論じておられるので、「こんな説もあるよ」と諸氏も太田論文を読んで、その論をさらに議論して発展させればいかがですか?との問題提起なのです。太田さんも理論家でいらっしゃいますよ。大いに議論してこそ進歩が見えて来るでしょう。

そもそも文学者とは? - hibiki

2019/03/09 (Sat) 02:31:39

まずは湖南同居さんの記事に対してですが、カズオ・イシグロさんのナイト爵の授与理由は、「文学界」に対する貢献という抽象的なものではありません。あくまでも「英国文化を体現した文学への貢献」(『日の名残』などが念頭にあります)という具体的なもの対しての授与です。

後の議論のコナン=ドイルは文学者か否かというのは、「文学者」の定義が投稿者によって違うので話が噛み合っていません。「作家」の意味に取るのであればおかしな事になりますし、広い意味で「物書き」とすれば私もあなたも文学者です。議論するにはまず指標(共通言語というべきでしょうか)を定めなければどこまで行っても無益な言い争いになるだけです。

それから、面会謝絶さんは太田さんの論文を取り上げていらっしゃいますが、その部分は太田さんが他の本から引用された部分で、しかも元々の意図とは少し違います。引用の引用は控えられた方がよろしいでしょう。

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